公開質問2:FODMAP少量継続で症状が出る問題

Office Uno Column


<質問>
質問です
症状が出るほどの量ではないが
イヌリンやオリゴ糖などのIBS 症状に関わる成分を、各食事で少量ずつ取り込んでしまい
1日で解消できず
積もりに積もって
何日か後に症状が出る
といったことは考えられますか?
あるいは最大何時間(何日)前の食事が影響しますか?

出来るだけ低FODMAPを考えながら実行していますが
少量のパン粉
スープの玉ねぎ
添加物としての乳糖など
少量ずつの摂取や
大量生産ではないので大丈夫と思って食べた、有名和菓子店の餅菓子にオリゴ糖やソルビトールが入っていたり
ということがあるので

私の場合、低FODMAPでコントロールできている状態が続いていても、きまって1か月に1回、直前の食事が低FODMAPにも関わらず、腹痛と下痢症状がでるので
上記のような疑問がわきました
1か月間積りに積もって・・ということはないと思いますが。
FODMAP
を考える際、最大何時間(何日)前の食事の影響まで考慮すればよいでしょうか? 

・・・・・・・・・・・・・・
<回答>
まず、FODMAPが影響を与える期間は、最長4から6週と考えています。そのため、低フォドマップ食の導入期を46週に設定しています。なぜ、このような期間を設定するか?ですが、腸内で発酵するには、FODMAPだけではなく、それを発酵させる菌が必要です。つまり、その期間で、菌の増殖を抑制し、菌数を減少させることを目的にした期間設定です。
 
 わかりやすく説明すると、全く逆の事、つまり、「乳酸菌が体にいい」というものを考えてみましょう。たとえば、オリゴ糖が腸にいいという理論は、オリゴ糖が乳酸菌を増やすからとされています。では、乳酸菌が増えて、なぜいいのか?という理論に、乳酸菌を増やして、腸内発酵を促進し、それによって、腸内(便)が酸化して、pHが低下し、その酸性の刺激で腸管の運動が起こり、そして、発酵によって短鎖脂肪酸が増加して、腸から栄養が吸収されるという理論です。この機序は、ごく軽度の便秘では下痢傾向になるので、そのようなデータで「いわゆる健康食品」として認定されています。しかし、このような機序は、重症の便秘では、ガスだけが増加し、また、下痢型のIBSや、混合型(下痢と便秘を繰り返す)型のIBSでは症状が悪化します。では、「ごく軽度の便秘」と「下痢型IBS、混合型IBS、重症の便秘」と何が異なるのでしょうか?考えられることは、発酵する菌の量が多い、軽度の腸粘膜の炎症の存在、SIBO の関与です。
 
簡単にいうと、FODMAPで発酵する菌は、FODMAPを栄養として増殖します。ある程度、ある期間、FODMAPを制限すると、菌量は減少します。しかし、時々、FODMAPを与えていると、菌量が減らず、その状態で、発酵する量のFODMAPが存在すれば、ガスと水が増え、pHが低下し、症状を来すことになります。長年、FODMAPで下痢を来しているような場合では、内視鏡検査では正常に見えるが、組織学的に軽度の炎症がある場合があり、そのような場合では、炎症がない人よりも、同じガス量、同じ水分量でも症状を来します。さらに、大腸だけでなく、小腸にも発酵菌が増殖している場合(SIBO)では、小腸で発酵が起こり、ガス量と水分量が小腸で増加するため、より症状が悪化します。
 
以上から、質問の「FODMAPが積もり積もって症状がでるのではないか?」についてですが、FODMAPは、発酵されるか、排泄されるかなので、FODMAP自体がそのまま腸内に蓄積するためではなく、そのように感じるのは、FODMAPによって、菌数が増加する(減らない)という状況だということになります。
 
つまり、FODMAPを完全にやめていない状況、時々、少量摂取する状況は、くすぶっている火のようなもので、何らかの気が付かないFODMAPの摂取は、くすぶった火に対する風や油のようなもので、勢いよく発火する可能性があります。
 
また、火が鎮火した状況でも(鎮火といっても、発酵菌が全くなくなるということはないので)、大量のFODMAPでは、それだけで大火になることもあります。たとえば、先日、私は、あるインドカレーのお店で、チキンカレーを食べましたが、「異常に甘い」と感じました。そして、数時間後からお腹が張り、グルグルと鳴り、その後、腹痛、下痢となり、症状は4日間続きました。おそらく、大量の蜂蜜とタマネギが影響したと思います。つまり、いくら、低フォドマップ食を継続していても、一度に大量のFODMAP摂取によって少ない菌量でも異常に発酵するということです。
 
結語ですが、FODMAP摂取が、どれほどの期間影響するか?ですが、直接的な影響は数時間から数日だと思いますが、それによる菌量の増加は、1か月以上影響すると考えています。
。。。。。。。。。。

<追補>
最近、私が理解したことを追加します。
重度の便秘と、軽い便秘では、大腸の構造が異なる可能性があります。
酷い下痢と軽度の下痢も同様です。

また、最近の研究では、低FODMAP食が有効な例では、それに関する腸内細菌の種類の数が減少し、無効な例では菌の数に変化がなかったことが報告されました。

コメント

人気の投稿