公開質問7:便秘と下痢を繰り返す

Office Uno Column



<質問>
はじめて、コメントを書かせて頂きます。過敏性腸症候群の診断はついていませんが、通院はしています。(近所で、夜診をしている、高齢の医師の小さなクリニック)症状は、便秘(なにもしなければ1週間くらい)と下痢を繰り返し、お腹にガスがたまって痛くなりやすいです。検査は、血液は異常なし、お腹のレントゲンはガスが多く内臓が下がっていると言われました。クスリは、はじめはセンノシドとマグネシウム?というのでしたが、具合が悪くなりすぎて合わず、何回かかえて、今は、ラックビー、ガスコン、トリメブチンマイレンというのを3ヶ月くらいのんでいます。便秘も、ガスがたまるのも、少し軽くなったのですが、基本、便秘と下痢を繰り返すのはかわらず、色々悩んでこのコラムを見つけました。全文しっかり読んだ訳では無いための無知で申し訳ありません。低フォドマップというのを、やってみようかと思うのですが、これをやってはいけない体質とか症状の人っているのでしょうか?また、知識不足のまま自己判断でやると、うまくないことなどありますか?きちんとわかっていないまま、ざっくりとした質問ですみませんが、よろしくお願いいたします。実名が出なければ、公開okです。

<回答>
ポイントを整理します。
 
1.ガスが多く腹痛になる。
2.便秘と下痢を繰り返す。
3.レントゲンでガスが多く、内蔵下垂あり。
4.センノシド、マグネシウムで症状が悪化した。
5.ラックビー、ガスコン、トリメプチマイレン(セレキノン)で、症状が軽快したが便秘と下痢がある。
6.低フォドマップ食をしてよいか?

まず、症状からすれば、過敏性腸症候群(IBS)の混合型が考えられます。しかし、もともと便秘で、そのために市販下剤を服用していて、普段は便秘で、下剤を飲んだ後に下痢が続く人もいます。その場合は、慢性便秘としていいかもしれません。いずれにせよ、レントゲンでガスが多く、ガスが増えると腹痛があるという点から、腸内のガスが症状の原因と考えて良いでしょう。内蔵下垂ということですが、おそらく、横行結腸が下垂していると思います。そういう場合は、胃下垂も伴っていますが、それは慢性便秘の結果として起こっていることがあります。従来は、体質的に、あるいは、体格的に内蔵下垂(横行結腸下垂)が原因で便秘が起こるとされていましたが、私は、そうではなく、慢性便秘が長期化して、横行結腸に便が蓄積し、さらにセンノシド、センナなどの影響によって腸管が拡張して、結果的に横行結腸が下垂してしまう、つまり、原因ではなく、結果であると思っています。ですから、症状的に、アントラキノン系(センナ、センノシド、ダイオウ、アロエ)な下剤を、これまで服用していたことも推察されます。センノシドを飲んで効果がないのは、そのためかもしれません。であれば、その根本は、下剤中毒による腸管の異常運動による症状なのかもしれません。そのような場合の腸の異常運動とは、部分的に強い収縮と、異常な拡張があることを意味します。つまり、だらんとした部分と、ぎゅーっと絞られている部分が大腸に数か所あり、それによって、部分的に腸の痛みを感じ、さらに、便やガスがうまく運ばれない状況になります。ラックビーとガスコンは効果がないと思うので、症状を軽快させたのはセレキノンが考えられます。セレキノンは主に、下痢性のIBSでの過剰な腸収縮を抑えるものですが、それが便秘症状に有効だとすれば、やはり、部分的に異常収縮があり、その異常収縮を抑えてくれているのだと思いますが、その場合は、かえって便秘になることもあります。
以上から、IBSの混合型、慢性便秘+下剤中毒が考えられます。
薬による治療では、このような場合、私は、中建中湯(大建中湯+小建中湯)を使っていました。その理由は、大建中湯で大腸の大蠕動を促し、かつ、小建中湯で異常な収縮を抑制するという方法です。
小建中湯は朝、昼に服用して、夕方に大建中湯を服用してもよいでしょう。しかし、そのように処方してくれる医者はほとんどいないと思います。便秘に対しては、オリーブ油(130ml)も効果がありますが、基本的にオリーブ油は下剤なので、長期の服用に問題があるかもしれません。
しかし、ガス症状を改善すれば、全体的な症状は軽減することが期待できます。つまり、低フォドマップ食が適応されると思います。低フォドマップ食は、自分自身で行うことができる食事療法です。そして、菜食主義や低糖質ダイエット、断食療法に比べ、栄養面での偏りが懸念されない食事療法です。基本的には、小麦粉の食品、果糖の多い果物(リンゴ、サクランボ、マンゴー、スイカ、モモ、梨など)、蜂蜜、オリゴ糖、牛乳、豆乳、ソフトな豆腐、ソフトなチーズ、ヨーグルト、キシリトール、異性化糖(コーンシロップ、果糖ぶどう糖液糖など)、タマネギ、ニンニク、白いネギ、ゴボウなどをやめます。特に、北海道の外食やお菓子には、高フォドマップが多いので注意が必要です。インスタント食品にも注意が必要です。そして、基本的に、米食として、肉、魚、卵を副食として、野菜はレタス、ニンジン、トマトにします。詳しくは、これまで、書いた記事を参考にしてください。
 低フォドマップ食をしてはいけない体質があるか?ですが、いろいろ検討してみましたが、高フォドマップ食だけに含まれて、低フォドマップ食に含まれない栄養素やビタミン、ミネラル、微量元素はないため、低フォドマップ食をしていけないという体質はないと思います。一般的に、食事療法で禁忌とされる場合は、〇〇を食べよう!という場合です。その〇〇にアレルギーがある場合は、体質的に禁止されますが、低フォドマップ食は、〇〇を食べないようにしようというものです。ですから、体質的に禁忌となる人は存在しないと思っています。
ただし、低フォドマップ食の有効率は7075%とされています。御相談者が4分の3に入ることを期待しています。


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