公開質問21: IBS+SIBOの治療食


Office Uno Column


<質問>

私は三十年ほど前に少し重い盲腸の手術をし、その後ガスが大量に出るようになりました。 

それ以来ずっと悩んできました。手術によって腸内フローラが乱れたのでしょうか?それとも回盲弁がうまく働かなくなってしまったのでしょうか? 

<回答>

「盲腸の手術」の既往があるのですね。
 現在の急性虫垂炎は、昭和30年代までは、炎症が広範に広がり、虫垂だけではなく、盲腸まで炎症が及んで、盲腸を切除することが多かったので、「盲腸の手術」と呼んでいました。酷い炎症の場合は限局性腹膜炎と膿瘍ために、回盲部切除をする例もありました。その場合は、上行結腸と回腸を吻合する手術が行われました。
 30年前であれば、もしかしたら、回盲弁も一緒に切除する回盲部切除が行われた可能性もありますが、手術記録はもう残っていないと思われ、確認はできないと思います。
 回盲部切除でなくとも、重症の虫垂炎の手術であったとすれば、回盲弁が残存していたとしていても、癒着などの影響で回盲部の機能が低下している可能性もあると思います。
回盲弁は、大腸から小腸への便の逆流を防ぐ機能があるので、その機能が低下していれば、便の逆流のために、小腸内菌増殖症SIBOとなっている可能性が高いと思います。
通常は、高FODMAP食は大腸で発酵しますが、SIBOの場合は、回腸から発酵が起こるので、ガス症状はより強く、ガスがあるが、オナラとして出てこない状態となり、右下腹部に張りや痛みを生じます。
また、SIBOで問題なのは、通常、小腸で吸収されるグルコース(ブドウ糖)でも発酵してしまうということです。この場合、特に問題になるのが果物です。通常であれば、果物はグルコースの量よりも果糖が多い場合のみに大腸で過発酵が起こりますが、SIBOでは、あらゆる果物で発酵が生じる可能性があります。
 IBSSIBOの場合は、抗菌剤のリファキシミンが有効とされていますが、日本では肝性脳症での適応しかないので治療を受けることはできません。
 
以上から、対策としては、「低FODMAP食+果物制限+糖質制限」が有効と思います。


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