公開質問13:日本の低フォドマップ食の考え方

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<質問>
私の場合、一旦症状が出ると、なかなかその症状がなくならないのが悩みの種です。

例えば、高FODMAP 食で、あるいは、ガスが増えた状況に食事をして、下痢や下痢と便秘の合わさったハイブリッド状態になると、左下腹部の痛み、直腸あたりに感じる渋り、腹直筋の緊張、痙攣(下腹部の脈を感じるほど)腰痛などの症状がでます。
排便によって、少し楽になるものの、その後も、上記症状が続きます。食べなければ症状が出ないだろうと考え、24時間食べなくても、症状が続きます。
そのような症状を解消するのに役立った対策としては
大腸内視鏡の前処置
腹部、腰部の深い筋肉への鍼治療
大建中湯(場合によっては、カマグ追加)→ただし、その後、下痢傾向になるので、芍薬を含む漢方やブスコパンなどで下痢を抑える必要ありすると便秘傾向になる
抗生剤
くらいで、
すぐに対処できると言ったものではありません。

FODMAP を意識しても、月に一度は、不調に陥り、長引くので、更なる厳密な低FODMAP の実行に加え、二週間に一度、計画的に大建中湯などで腸内を軽くリセットする方法などは、どうだろうと考えているところです。
この1ヶ月、まずまずの低FODMAP 生活でしたが、やはり維持が難しく、低FODMAP αで対策を講じなければと思っています。

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<回答>

問題点を整理します。

低フォドマップ食で完全にコントロールできない。

一旦、状態が悪化すれば、改善まで時間がかかる。

この問題は、モナッシュ大の論文でも記されていて、基本的に
FODMAP食を徹底していても、ほかの物質の影響が蓄積されている可能性があります。
下の図でのアミンは、チョコレート、魚の缶詰、ソース、ナッツ、酢、野菜、スパイス、紅茶、コーヒーに含まれているそうです。サルチル酸も過敏症が存在します。グルタミン酸ナトリウムは、日本のあらゆる食品に入っています。その他、影響するのは、安息香酸、プロピオン酸、酸化防止剤、色素などのようです。
 バレットJS、 ギブソンPR。発酵オリゴ糖、二糖類、単糖類およびポリオール(FODMAPs)および非アレルギー性食物不耐症:FODMAPsまたは食品薬品? Therap前売Gastroenterol  2012; 5:261-8。

また、FODMAPは、これまでもIBSで良くない食品として検討されてきましたが、
FODMAP以外にも共通しているものに、卵、チョコレート、アルコールがあります。また喫煙も良くないとされています。

モナッシュ大では、FODMAP自体の有用性を知る目的で、FODMAP以外のものをフリーにして研究を行っていますが、FODMAPだけでは75%の効果しかないのです。では、残りの25%は何が原因かはわかっていません。しかし、従来のIBSの食事療法(低脂肪、刺激物禁止、アルコール控えるなど)と低FODMAP食と比較した研究では、若干、低FODMAP食が有効でしたが、それなりに従来法も効果があるとも言えます。そのため、従来のIBSの食事療法+低FODMAP食がより有効だと私は思っています。つまり、日本の低フォドマップ食は、低FODAPαということなります。
ですから、低FODMAP食だけは、完全ではない場合は、卵、アルコール、チョコレート、刺激物を控えることが必要だと思います。
最近、下痢型のIBSでは、胆汁酸性下痢が関係しているのではないかと考察されているので、胆汁が分泌され過ぎている状況をつくらないことも必要です。たとえば、ウコンを飲むと胆汁が多く分泌されるので、ウコンは飲まないなども必要です。さらに、コーヒー浣腸をすると胆汁の分泌が多くなるとされているので、コーヒーは控えるべきだと思います。
そして、私が思っているのは、図のように、FODMAPも蓄積の影響があるのではないかということです。



それは、オリゴ糖の実験で証明されていることですが、
症状が出ない量を長期間摂取していると、その影響が出やすく、その影響も継続するという事です。さらに、控えたとしてもゼロにはならないだろうと予想されます。
ですから、一旦、高FODMAP食で悪化した場合は、その後、控えたとしても、すぐには改善しないと思います。実際に、私も、アンコの影響で、腸炎になったかと思うくらいに、今でも何とも言えない腹部不快があります。

日本の現在の状態では、完全にFODMAPを除去することは困難なので、
計画的に2週間に1度、腸内細菌叢を減らすという方法は理にかなっていると思います。
実際に、菜食主義者で、それを栄養源とするためにセルロースを分解(発酵)する腸内細菌が増え、菌の増加に伴ってガスが増加するために、経験的に洗腸を定期的に行ってガスの増加を防いでいる人もいました。

ただ、下痢型IBSでは、SIBOを合併していることが考えられるので、大腸洗浄だけでは効果がない可能性があり、大腸内視鏡の前処置の腸管洗浄液が最も良いと思いますが、ニフレックは個人購入できません。

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