公開質問10.FODMAPによる便秘と下痢の機序

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<質問>
①  IBS混合型の症状がFODMAPの複数の成分と関連しているとして 
例えば
ラクトースは下痢
ガラクタンは便秘
フルクトースは下痢
フルクタンは便秘
といったように
混合型は成分によって違う症状を起こすので便秘や下痢を繰り返すという事なのでしょうか?
それとも、体調などによって、同じフルクトースでも、便秘になったり下痢になったりするということなのでしょうか?

②また、上記のように複数のFODMAPに下痢や便秘といった複数の反応がある場合
例えば
下痢気味の時に便秘になる成分を取り入れたら相殺されて、ちょうどよくなるといったことがあるでしょうか?

自分の体験ですが
FODMAP
を知る前に自分なりに食品への反応を分類していたのですが、下痢気味の症状の場合、豆やサトイモを食べると、便質が硬くなるということがあったので、当時は豆やサトイモはIBS症状を改善させる食品として分類していたことがありました。
ブロッコリーも同様な感じでとらえていました。
FODMAPを知ったとき、これらの食品がNG食品に分類されていたので、当初は混乱しました。)
現在は、それらの食品も基本的には避けていて、機会を見ながら、チャレンジしていくつもりでいます。

③自分の場合、便秘気味の時はさほど苦しくないので、主に下痢になる食品をターゲットにしているのですが
そのような場合でも、便秘になる食品については避ける方が良いのでしょうか?(ただし、数年前までは便秘になった場合は大建中湯<時にカマグを追加>を使用している時期がありました。大黄、センナやピンクの小粒などは使用したことはないです)

以上、よろしくお願いします。


<回答>

   FODMAPは、小腸で吸収させず、大腸にそのまま運ばれるために、大腸で過発酵が起こり、ガスと水分が増加し、その両者によって、下痢と便秘症状、腹痛を来す食材です。御指摘の通り、食品によっては、ガスよりも水分が多くなるものもあるのかもしれませんが、そのことについてはわかっていません。
考えられることは、
1)食品によって、あるいは人によって過発酵を来す大腸の場所が異なる。
2)小腸内菌増殖症(SIBO)を併発している場合は、小腸でも発酵が起こるので水分が過剰となり、腹部膨満と下痢が起こる。
3)FODMAPでも食品によって、食物繊維が多いものと、殆どないものがあり、それによって症状が異なる。(たとえば、貴殿の場合、便秘の食品をみてみると、食物繊維が多いと思います。)
以上です。

 基本的に、FODMAP食で便秘になる場合は、大腸の奥の方でガスが過剰に発生することによって、腸の奇異的収縮と拡張が起こり、うまく便が運ばれないことが原因です。ですから、その機序で下痢を相殺することはないと考えます。ガスが増えた状況で、食物繊維が多いと、便が硬くなることもあります。

下痢になる食材だけ制限すれば良いか?ですが、以上の理由から、便秘であっても発酵が起こっているであって、つまり、制限しなければ、発酵菌の絶対数は減りにくいと思われます。しかし、もし、過発酵でなく、症状の原因が主に乳糖不耐症のような場合では、不耐症の原因食材だけを制限すればいいのですが、それを簡単に鑑別する方法はないので、まず、全てのFODMAPを制限した方がいいと思います。可能であれば、便秘の時に、腹部単純レントゲン写真を撮影して、ガスが多いか、少ないかをみれば、FODMAPでガスが増えて便秘なのかがわかると思います。
私の経験では、下痢を来している場合でも、多くの場合は、非常にガスが増えているという事実があります。

<追記>
下痢と便秘、また、両者のあるIBSがなぜ起こるのかについては、

その発症時間に時間差があると理解しました。下痢は、時間時に早く、便秘はガスが増加して症状を来すが、発酵までに時間がかかります。そして、発酵する時間には、さらに物質による差があります。

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